

三原 茂
検索といえば「Google」。しかし、「サイト内検索」というと、これまでWebサイトの裏方的な位置付けにあったことは否めません。しかし、検索性の良し悪しでユーザに届ける情報のクオリティが格段に変わることが認識されてきた昨今、サイト内検索を強化するという動きがでてきています。
そこで今回、楽天など数多くの大企業で採用され、エンタープライズサーチで高い技術力を誇るファスト サーチ & トランスファ株式会社の三原氏よりサイト内検索における現実と本当の意味での「検索」について、成功している先進企業様の事例をもとに解説していただきます。
(1)DBの検索機能で検索を提供している
(2)検索エンジンを導入している
多くの場合、検索エンジンを採用しているサイトを訪れるユーザ満足度のほうが上位を示します。
それは、なぜでしょうか?サイトに検索を実装する本来の目的は、商品や情報といった、そのサイトが持っている「コンテンツ」と「顧客」を結びつける点にあります。それも単に顧客と結びつけるだけではなく、顧客の「意図していること」と結びつけるのです。つまり、コンテンツと顧客の唯一の接点となる「検索」の柔軟性においてより高いサイト=検索エンジンを導入しているサイトが、顧客の意図していることに結びつけ易くなるからです。
我々のお客様の中にも DBの検索機能から移行したケースが多くありますので、まずはこの点から詳細について触れていきたいと思います。
大規模ECサイトや、メーカーサイトでは、商品マスターDBを使っていないサイトはもはや無いに等しいでしょう。一方で、このDBに付属している「検索機能」を利用して、サイト内検索を提供しているサイトは非常に多く見られます。検索エンジンを別個に導入することなくサイト検索を提供できるが故ですが、悩みも多く抱えていました。その中でもユーザのサイトへの不満につながる大きな要因でもある下記の2点が代表的です。
(1)同義語が使えない
(2)検索が遅い
(1)については、サイト運営側からも顧客側からもよく聞くお悩みです。例えば「パソコン」なのか「PC」なのか…日本語は多様な表現があるため、表現のゆらぎが簡単に起こります。運営側も顧客側も当然、どちらを入力した場合でも同じように結果が出て欲しいと思い、期待しているはずです。しかしこの同義語が、DBの検索機能では「言うは易く行うは難し」となるわけです。顧客は正直なため、競合サイトが同義語も含めて便利な検索機能を提供していれば、自然とそちらへ移ってしまいます。30%の顧客は、サイトが使いにくかったら直ぐに競合サイトに移るというレポート結果(Harris Interactive調べ)も出ています。ここでもう1つ大切なことは、同義語のサポートができていないと「0件ヒット」となる可能性がとても高いという点です。「0件ヒット」=「顧客満足度低下」は説明するまでもないでしょう。
次に、(2)の「検索が遅い」、つまり検索パフォーマンスが遅い点についても同様のことが言えます。顧客は、(クエリー処理が始まってから)検索結果が返るまで何秒待てるでしょうか?あいにくマーケットデータは持ち合わせていませんが、さまざまなユーザの声を合わせますと 2秒は待ってもらえないのが現実のようです。
ビジネスの成功は、同時にアクセス数(PV)の増加やクエリーの増加を意味します。つまり、そのビジネスの成功を支えられる柔軟性をシステムとしても、機能としても持ち合わせていないと、後のビジネスの成功の妨げとなってしまいます。あるビジネス規模までは、DBの検索機能を利用したサイト内検索も利用価値があるかも知れません。ですがより高い顧客満足度や機能性、柔軟性を望むと、サイト運営者の期待ほどのパフォーマンスは提供できない事が多く発生してきます。
「検索」への顧客の驚異的なニーズの変化により、「検索」という言葉が持つ意味も急速に変化してきています。いわゆるユーザエクスペリエンスが日々陳腐化し、新しいユーザエクスペリエンスの提供が常に求められている一方、「検索」という言葉を聞いて思い浮かべることといえば?
筆者が様々なセミナーや勉強会等で得た結果は、80%以上の人が「Google」と答えたことでした。「ググる」という言葉があるのも納得です。
次にもう一歩踏み込んで聞いてみると、ほぼ全員が「キーワードを入れると、文字列の検索結果が羅列される」と答えます。実はここに落とし穴があるとも感じています。なぜならば、従来の「検索」のイメージと日々求められているリッチなユーザエクスペリエンスでは、その方向性に格差があるからです。当然ながら、サイト内検索で従来の検索機能を提供しても、ユーザのロイヤリティの向上は期待しにくいでしょう。ここでの問題点は、大きく下記の2点が挙げられます。
(1)検索結果ばかりが増えて、顧客が意図している結果が表示されにくい
(2)顧客を効率的に誘導(ナビゲート)できない
実は上記の2つの問題点は、エラーが出るといったシステム的な問題点以外では、顧客がサイトを離れる不満の代表格として挙げられています。PVが増えたと思ったら迷っているだけということも多々あります。つまり今日の「検索」は、もはや従来の「検索」ではなく、顧客をナビゲートし、満足度を上げ、購買意欲を高める、サイトと顧客との最も重要な接点でなければならないのです。
ここで、従来の「検索」との違いをお見せするために、不動産検索サイトのフォレント様(以下、フォレント)をご紹介します。不動産検索サイトでアパートやマンション等を探す際に、まずはどう「検索」されますか?
地域を入力して絞り込むでしょうか。
例えば、「渋谷」と入力した際にどの地域の「渋谷」をイメージ(意図)されますか?東京に住んでいる方なら、おそらく渋谷区の「渋谷」をイメージされる方が多いかと思います。ですが従来型検索ですと、他地域の「渋谷」も同じ検索結果内に表示されてしまいます。つまり、顧客が意図しない検索結果が多量に表示されることになります。
一方、フォレントの場合は、画面上部にどこの「渋谷」かを絞り込む「分類」がされているので、東京の「渋谷」のみに絞ることができます。
さて次に、皆さんはどうされるでしょうか?実はここからが大変です。従来型検索ではおそらくAND検索以外手段がありません。
では実際、マンション、アパートを探す際にいくつキーワード(条件)を思い浮かべられますか?「南向き」、「最上階」、「徒歩5分」…数百から数千に及ぶ検索結果を絞り込むために、キーワードを複数思い浮かべるのは至難の業です。
そこで、フォレントでは「こだわり条件を指定する」という絞り込み機能を用意し、ユーザの意図する結果へ導いています。
これをクリックすると、「あ、これだ!」というキーワードが分類化され豊富に用意されています(下図)。チェックを付けてダイナミックに絞り込み、合致する物件数も一目瞭然であり、リアルタイムと言っていいほどのスピードで結果が返ります。これにより、条件に合う物件だけを手早く見つけることができます。さらに重要なポイントは、この絞り込みを重ねることで、検索不可となった条件は、こだわり条件のリストから随時グレーアウトされる点です。つまり、「0件ヒット」が起きないということです。フォレントではこの分類機能を非常に巧みに活用し、人気を得ている好例と言えるのではないでしょうか。
その他にも、全く文字列(キーワード)入力を必要としない「ゼロタームサーチ」により、キーワードだけでは表現が難しいもの(個人の嗜好や状況説明等)を検索させているBIGLOBE温泉の感性検索温泉版など、従来の検索とは全く異なる「検索」を提供し、顧客満足度と収益の向上を図られている先進企業も増えています。今回ご紹介した事例は成功している多くの事例の中でも、ほんの一例でしたが、「サイト内検索で購買意欲を高める」ヒントになれば幸いです。
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