トップ > 特集 > 消費者との距離を適性にするソーシャルの考え方

1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。
1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーランスとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワン専務取締役兼COO、2005年から2007年までシックス・アパート株式会社マーケティング担当執行役員を経て、現在は、ブックオフオンライン株式会社取締役のほか、数社の顧問・アドバイザーを務める。近著に「そんなんじゃクチコミしないよ。」がある。
「インターネットの世界で今起こっていることと向き合い、ソーシャルメディア時代のマーケティングコミュニケーションのあり方を考える。これが今日のテーマです」と切り出した河野氏。
かつて「インターネットってなに?」と尋ねられて多くの人が答えに窮した時代があったように、「ソーシャルってなに?」という問いに即答できる人は多くありません。だからこそ、敢えて安易に結論づけようとするのではなく、河野氏の話をもとに、ワークショップ形式でソーシャルの可能性や方向性を広く探ろうというのです。そこで今回は、参加者全員がリアルタイムでチャットをしながら河野氏の話を聴くという、斬新なスタイルでの「loftwork college」となりました。
先ず河野氏は、1990年代後半から現在にかけての企業サイトの変遷をたどりつつ、「インターネットの世界で今起こっていること」を企業の視点から分析。「ホームページを作ること=企業が最低限やるべきこと」として認識されていた時代に始まり、その後のインターネット環境の変化とともに、企業側の意識も大きく変化してきたことを説明しました。
「企業サイトを通じて消費者とダイレクトにつながるというだけでなく、RSS、ブログ、SNSなどの登場によって、一方通行から双方向へとシフトしてきました。企業にとっては、インターネットでできることが増えると同時に、インターネットに求められることが確実に増えています。しかし、10年前、これほど双方向な時代がやって来ることを誰が想像できたでしょうか。そしてこの先にも、考えつかないような世界が待ち受けているかもしれません。だとすれば、企業に今できることは、目の前にある技術で何がやれるかを考えることなのです」(河野氏)。
続いて河野氏は、消費者の視点からインターネットの変遷を振り返り、「インターネット化しつつある社会」の象徴的な変化として次の2つを挙げました。
●インターネットの一般化
インターネットは“誰もが使うもの”になってきた。「インターネットってなに?」という質問を耳にしなくなったことからも明らか。現在は世代間で利用率のバラつきが見られるが、やがて平均化し、利用率100%に限りなく近づいていくはず。生活に密着した領域でインターネット対応製品が増えてきたことも、この流れを後押ししている。
●インターネットの日常化
メール、ブログ、検索など、いろんな用途で“毎日使うもの”になってきた。しかも、ほとんどの人が裏側のしくみ(技術的な基盤)を意識することなく、楽しく使いこなしている。誰もがインターネットを当たり前のように知っていて、いつでも、どこでも使う時代になったということ。
ここで河野氏は、「注目すべきは、“個人”がインターネットにつながったこと。さらにここ数年、その個人と個人がつながり始めています。これがソーシャルに関わってくる大事なポイントです」と強調。もはや、○○さんの家はインターネットにつながっている、という時代ではなく、個人がインターネット利用端末を手に入れ、比較的安価に接続できるようになり、コミュニケーションのあり方にも変化が生まれているのです。
「コミュニケーションの頻度は飛躍的に増え、相手のレスポンスが遅いと不満に感じる人も。また、全く知らない人ともつながることができる。これも大きな変化です。そこに新しい人間関係が生まれ、顔も知らない人と共感したり、一緒に楽しんだりすることも可能になっています。このように消費者が変わってきたのなら、企業だって変わらなきゃいけない!」と河野氏。
個人がインターネットにつながり、さらに個人と個人がインターネット上でつながっている。これがまさに「インターネットの世界で今起こっていること」であり、彼らの輪がますます広がろうとしているところに、企業がどう参加していくかが重要になる、ということです。
では、多くの企業がこれから踏み込もうとしているソーシャルとは、どんな世界なのでしょうか。河野氏は、まだ自身も模索中であり暫定版だとしながらも、ソーシャルメディアの分類を提示。 現在よく知られているSNSやブログなどのサービスを、「つながり」と「リアルタイム性」の2つの観点で区分すると、だいたいこの図のような分類になると説明しました。
続いて、ソーシャルメディアの特徴として、次の2点を挙げました。
●消費者同士がどんどんつながる
個人と個人がつながることで、情報が波及的に広がる可能性を秘めている。ただし、可能性があるというだけで、ブログを書けば誰でも1,000万人に読まれるかというとそうではない。この点を理解しておく必要がある。
●即時性のある情報または編集された情報である
リアルタイムであればあるほど情報は細切れになるため、検索性は悪くなる。したがって、情報の送り手も受け手も、何を重視すべきかによって使い分けが必要である。また、ネット上の情報は、人の手によって更新され、時間の経過とともに正しい情報が残っていくという特性がある。つまり、大きな流れの中で次第に情報が意味を持ってくるということ。
「これらの特徴を踏まえて、企業サイトがソーシャルメディアとどう関わっていくべきかを考えていく必要があります」と河野氏。
さらに意外なところからソーシャルとの関わりについて言及。オバマ政権が掲げる公式サイトの優先事項には、学ぶところが多いと言う。それは次の3つです。
1. コミュニケーション
2. 透明性
3. 参加
河野氏は、「この3つは、企業がソーシャルメディアに対してアプローチしていく際にも、とても重要な姿勢だと言えます」と強調。つまり、ソーシャルメディア時代における消費者との向き合い方として、企業には次のような姿勢が求められることになります。
1. 消費者の声に耳を傾けようという意志を示すこと
2. 企業がついた嘘は必ずばれるという前提に立って常にフェアに行動すること
3. 「来てください」ではなく「会いに行く」というスタンスで臨むこと
「特に、会いに行くという姿勢はとても重要です。場所を用意したから来てください!というのではなく、自分から会いに行くことで確実にファンは増えるでしょう。ますます透明性が追及される時代にあって、自分で汗をかくという姿勢は相手にもちゃんと伝わるはずです。これからは、そういう姿勢がどんどん求められていくと思います」(河野氏)。
また、代理店が介在するケースについても触れました。
「企業と消費者、著者と読者、作り手と受け手など、これまでは壁の向こう側にいた相手と“直接”つながることができる。これが今のインターネット社会の一番いいところです。ですが、代理店が間に入ることで結果的に消費者と向き合えなくなるようなら、意味がありません。
この点を踏まえて、最初から自分の手でやるか、あるいは代理店との関係の中で、直接消費者と対話できるようにコントロールしていくことが大切です。一方の代理店は、ソーシャルに踏み込もうとしている企業の傍にいて後押ししてあげる、勇気づけてあげる。そんな役割を果たせるとよいでしょう」と語りました。
さらに河野氏は、成功事例として次の4つを紹介。いずれも、ソーシャルメディアを企業サイトと効果的に連携させているケースです。
●貝印「KAI TOUCH Project!(カイタッチ・プロジェクト)」
ユーザーのブログに貝印の社員自らが足を運び、コメントを残すというプロジェクト。かつて貝印では会員制ブログサイトを運営していたが、受け身の姿勢は望ましくないとの反省点に基づき、自ら足を運ぶという姿勢に転換。ユーザーからは非常に好評だという。
http://www.kai-group.com/jp/kaitouch/
●ブックオフオンライン倉庫探検隊
河野氏自身がソーシャルメディア・マーケティングの実験としてスタートさせた企画。You Tubeを使って波及効果を狙おうというもの。
http://www.youtube.com/watch?v=x_C9nAfdRzU&feature=related
●ソニーのリリースサイト
プレスリリースのページにCM風の動画が用意されており、消費者はこれを自分のサイトに貼ることができる。企業サイトが少しずつ実験を始めているという一例。
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200904/09-0402/
●Poken Japan公式Twitter
自分のプロフィールをはじめ、ブログやホームページのアドレス、SNSの登録 IDなどを簡単に相手と交換できるデジタル名刺ガジェット、Poken(ポーケン)。この商品特性からTwitterに目を付け、狙いどおりTwitterユーザーを核にPokenを応援しようとの空気が生まれ、盛り上がっている。
http://twitter.com/pokenjapan
このように、ソーシャルメディアとどんな連携を築いていくかはアイディア次第。河野氏は、「これが正解だ!」というものはなく、いろんなアプローチの仕方があり、いろんな可能性を秘めていると言う。ソーシャルという言葉に抱くイメージは実に多様で、しかも、他人の捉え方を否定する人もいません。「確かにそれもアリかも!」と思える曖昧さにこそ、自由な発想でムーブメントを起こすチャンスがある、と考えることもできます。
最後に河野氏は、「己の欲せざるところ、人に施すことなかれ」という孔子の教えを引き合いに出し、「自分がされてイヤなことは、相手にもしない。裏を返せば、自分がしてもらってうれしいことを、相手にもしてあげるということ。つまり、人としての基本に帰り、まじめに消費者と向き合うことが原則です。それから、直接参加することに恐怖心を抱く企業が多いようですが、勇気を持って踏み出すことが大切ですね」と語りました。
考え方としては極めてシンプルでも、実に深い話です。「企業 対 消費者」とは言っても、軸になるのは「人」。「人」として「人」とどう向き合っていくかを考える。これが、ソーシャルメディア時代のマーケティングの心得と言えそうです。
モンゴルに行ってきました!生まれて初めてのモンゴル訪問レポートです。
そんなところに一体…
[Summary] I bought the latest version of Appl…
Copyright ©2000-2011 loftwork Inc. All Rights Reserved.