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株式会社イード チーフコンサルタント 山口優氏
マーケティングリサーチからデザイン評価、コンセプト開発支援まで、主に製品開発領域でユーザーに対する定性調査を中心に従事。特に2000年以降はユーザビリティ業務を中心に、プロダクト、Web、ソフトウェアの各分野でユーザーニーズの探索やペルソナの構築、ユーザビリティ評価及び人間中心設計に関するコンサルティングを実施し、現在に至る。
プロダクトやサービスを中心に考えられてきたデザイン設計ですが、Webをはじめ、各分野でユーザーが参加する「参加型デザイン」へと向かいつつあります。例えば、スタンフォード大学は、工学、理学、生命科学、ビジネスなど様々な分野の学生や教職員が集い、デザイン思考(Design Thinking)を学びながら、人間を中心に据えた問題解決のプロセスを実践するプログラム「d.school」を設置。ビジネススクールからデザインスクールへ変わりつつあります。
デザイン思考とは、デザイナーの感性と手法を用いて人びとのニーズと技術の力を取り持ち、人びとのニーズに合った顧客価値と市場機会を創出する手法です。
1999年に国際規格化したISO13407(人間中心設計プロセス:Human-centred design processes for interactivesystems 、HCD)では、インタラクティブシステムのための人間中心設計プロセスの導入・管理方法を規定しています。ISO13407は常にユーザーと対話し、理解した上で設計を行うという開発モデルで、ユーザーニーズ把握→プロトタイプ制作→テスト、を繰り返すことでより高度なユーザーニーズを実現することが特徴です。
参加型デザインでは、ユーザーの行動は予測や真似ができないため、以下の4つが重要なポイントとなります。
(1)実際の「ユーザー」の協力
(2)職種の異なる関係者の「コラボレーション」
(3)「繰り返し」てデザインをし、こまめな軌道修正する
(4)ガイドラインを遵守することではなく「プロセス」から生み出す
このような、ユーザー、コラボレーション、繰り返し、プロセスから参加型デザインにおいての優れたユーザビリティが実現します。
「人間」を中心に据えて人間の要求に合わせることを優先して設計する仕組みが人間中心設計です。「作ってから直せばよい」という考え方ではなく、最初からユーザーが使いやすいモノを作るように努力をしていきます。
このため、ユーザビリティの評価では、
(1)ユーザーが正確に目的を達成できるかどうか
(2)ユーザーは無駄な手順を踏まずに目的を達成できるかどうか
(3)ユーザーが不快に思わない満足度
という3点がポイントとなります。特にユーザビリティを向上させるためには、想定するユーザーのニーズを把握することが重要です。
ISO13407第4条に記載されている人間中心設計のメリットは以下の4点とされています。
1. ユーザーの満足度を向上させ、不満およびストレスを緩和する
2. ユーザーの生産性および組織の運用効率を改善する
3. ユーザーに対する訓練およびサポート費用を削減する
4. 製品の品質を改善し、ユーザーにアピールすることで商品競争力を有利にする
人間中心設計の費用対効果を具体的な数値で示すのは難しいところですが、製品ライフサイクル全体の総費用を考慮してメリットを判断すべきでしょう。特にユーザーを“気遣った”製品・サービスの開発による差別化は大きいと言えます。人間中心設計の導入により、ユーザーはモノをよりスムーズに楽しく使うことができるようになり、メーカー側は顧客からの操作に関する質問などの「手戻り」が減り、コスト削減と顧客満足を同時に達成することが可能となります。
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