トップ > 特集 > Webにおける人間中心設計プロセス(2)

人間中心設計では、企画段階から対象ユーザーとその要求を明確にして、それに適した設計をした上で評価します。評価して問題が発生した場合は、前のプロセスに戻り再調査します。
調査はフェーズごとに適した手法があります。
第1段階のプロセス「利用状況の把握と明示」では、ユーザーの新たな面や利用状況を知りたい場合に、アンケート調査やインタビューを行ったり、さらにユーザー自身を深く知るためにエスノグラフィやフィールドワークなどの観察を伴った調査を行います。
第2段階「ユーザーと組織の要求事項の明示」では、ペルソナ/シナリオ法などを用いて要求分析を行い、ユーザー要求をシステム要求に変換していきます。
第3段階「設計による解決策の作成」では、デザインや設計案を作りこむためにペーパープロトタイピングやカードソートなどの手法を用います。カードソートはラベルをカードにして分類や整理をするので、容易にラベリングのチェックが可能です。
第4段階「要求事項に関する設計の評価」ではデザインや設計案の妥当性の評価として、エキスパート評価やユーザビリティテスト、パフォーマンステストを実施します。
デザインや設計案の妥当性を評価するのがユーザビリティの調査です。ここでは、ユーザーの行動・考え方に照らし合わせてユーザーが利用する際に障害となる問題を定性調査・定量調査の2種類で抽出します。
企業のニーズが高いのは「具体的にどこを直したほうがよいのか」という定性調査のデータです。代表的な定性調査はエキスパート評価とユーザビリティテストです。エキスパート評価は専門家に調査を依頼し適切な問題点を抽出でき、ユーザビリティテストでは実際のユーザーが評価するため深く問題点を探ることができます。
定量的な調査には、定量的な裏付けをとることに最も効果が高いネットアンケート、タスクを与えて操作時間を計り、ユーザビリティの優劣を調査するパフォーマンステスト、ユーザーの視線を見える化するアイトラッキングテストなどがあります。
ユーザー要求をシステムに変換するための調査手法のひとつがペルソナ・シナリオ法です。ペルソナはユーザー調査から得られた具体的なデータをもとに作成した仮想のユーザー像です。ペルソナが製品・サービスを利用する際の行動とその背景を物語(シナリオ)として記述します。それをもとにユーザー要求を抽出することによって、ユーザー視点でのデザインアプローチが可能になります。具体的にはユーザーのコンテキストを抽出するインタビューを行い、利用者の行動のシナリオを考えます。
ペルソナが設定されていると、ユーザー像が広がりそうなとき、「このペルソナであれば、必要がない」「適している」という判断の指標としても活用できます。
デザインや設計案を作り込む際に活用されるのがプロトタイピングです。紙で作成したものやソフトウエア、Webサイトになっているものなどがありますが、紙に手書きしたペーパープロトタイプでも十分目的を果たすので便利です。専門家であれば画面遷移やワイヤーフレームでも可能ですし、ユーザーであれば操作のイメージできるものを用意します。
機能レベルを落とした「水平プロトタイプ」と機能数を減らした「垂直プロトタイプ」があり、実際には両方を組み合わせた「Tプロトタイプ」を使い、ユーザーが達成できる最小限の正解のルートだけをつくり、操作してもらいます。
エキスパート評価は専門家による知見に基づく評価手法で、ユーザビリティの原理原則を踏まえて問題点を発見します。具体的には、インターフェースデザインの原理原則(例えば、対話の7原則など)や探査学習モデル(目標→探査→選択→評価)に照らし合わせて問題点を発見していきます。ただし、人によって知見やバックグラウンドが異なるため、複数の人が調査することが標準的です。
評価の対象となるものは、実際に存在するウエブサイトやプロトタイプ、情報の構造(カテゴリや階層化)がわかるもの、ラベリング(ボタンの表示名など)を確認するためのサイト構造図、設計の初期段階のインタラクションが分かる画面遷移図などです。エキスパート評価は、評価期間が短く、コストが安いという点も特徴です。
ユーザビリティテストは実際のユーザーを集め、設定したタスクに従って操作をしてもらい、観察することで現実の問題点を抽出する手法です。画面内での反応、行動経路を記録・観察し、分析の材料とします。ユーザーを観察しながら、問題点を抽出するとともに、その問題の深刻さ(ユーザー自身で解決できるかどうか)、頻出度(何度も間違えてしまう)などを推測します。調査する対象の集め方が重要で、ターゲットの幅を広くせず、同じ利用状況の3−6名をグループとして実施すると費用対効果が高いといわれています。
また、テストの結果で重大な障害と中程度の障害があった場合、重大な障害を取り除くことに時間をかけるよりも、「線」を切断する可能性のある中程度の障害を優先して取り除く方が有効です。ユーザビリティテストの期間の目安は約5週間です。
エキスパート評価で全体を分析し、問題になりそうな部分をさらにユーザビリティテストをすると効果的です。
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