トップ > 特集 > IAは企業のウェブサイトにどのように関係する? - IAの視点で企業サイトのあるべき姿を語る(1)

1973年山形県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(Ph.D)。ネットイヤーグループ株式会社を経て、2002年株式会社コンセントを設立。情報アーキテクチャの観点からWebサイトプロデュース、情報端末の設計など幅広く活動を行っている。著書に『IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』、監訳に『デザイニング・ウェブナビゲーション』などがある。情報アーキテクチャアソシエーション(IAAJ)主宰。NPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事、米Information Architecture Institute、ACM SIGCHI、日本デザイン学会会員。
1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。1994年に花王に入社。マーケティング部門に所属し、日用品・化粧品の商品開発、広告プロモーション、販売計画まで幅広く担当。1997年に退社し米国留学。大学院卒業後は共同通信NY支局に勤務、経済担当として米国IT企業や起業家とのネットワークを構築。2000年に帰国し、クリエイターコミュニティを主体とした新しいスタイルの制作代理店「ロフトワーク」を起業。現在、代表取締役。米国PMI PMP。
ロフトワーク 林(以下、林): 今日は「IA100:ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ」(長谷川敦士著/発行ビー・エヌ・エヌ新社)という本を書かれた長谷川さんをお招きして、情報アーキテクチャや企業サイトのあるべき姿についてお話を伺いたいと思います。
さて、長谷川さんは著書の中で「情報アーキテクチャ」(Infotmation Architecture、以下IA)という考え方を述べていらっしゃいますね。私自身もこの分野に興味があって、とても面白く読ませてもらったのですが、あらためてIAについて教えてください。
コンセント 長谷川氏(以下、長谷川氏): IAはもともとはエディトリアルデザインなどをしていたリチャード・ソウル・ワーマン氏が20年以上も前に提唱した考えで、「複雑な情報をわかりやすく伝えるための技術」といえると思います。情報を組織化・構造化して、理解しやすく、あるいは利用しやすくするのがIAの役目です。
技術やデザインされる対象としての「情報アーキテクチャ」と設計を行う人を指す「インフォメーションアーキテクト」という言葉があります。ウェブサイトであれば、ナビゲーションをどうするか、メニュー階層をどうするか、デザインをどうするか、という実装の問題に突き当たります。これらはWebデザインにおける情報アーキテクチャ要素と呼ばれています。
林: 企業のウェブサイトの再構築(リニューアル)にはさまざまなプロセスがあります。その会社が持っているさまざまな情報を整理する広い意味でのIA設計の必要性、今おっしゃったようなメニューなどの狭い意味でのIA設計ももちろん必要ですし、最終的には日々のコンテンツ運用に移ります。
企業サイトの再構築でもこれらのプロセスを経なければなりませんが、具体的にIAは、企業のウェブサイトにどのように関係してくるでしょうか?
長谷川氏: そうですね、先に述べた具体的な技術としてのIAは狭義のIA(Little IA)と呼ばれており、それに対して総合プロデューサ的な観点のIAは広義のIA(Big IA)と呼ばれています。
企業サイトを構築する場合や運用する場合は、ページのデザインはもちろん重要ですが、目標や目的、ブランディングや、情報の出し方、集客、運用はどう進めるか、また費用対効果は妥当か、効果を測る指標を作っているか、といった様々な点を考えなければなりません。こういった要素について、PDCAを続けていくのが企業サイトあり方です。このプロセスや合意形成の仕組み作りを「ウェブガバナンス」と呼んでいます。広い意味でのIAはこのウェブガバナンスを推進するための要素のひとつと言えると思います。
林: IAはウェブガバナンスを作っていく上での重要なポイントになるということですね。とはいえ、ウェブガバナンスは、多くの企業サイト担当者の悩みになっていることもあり、現実には、予算やスケジュールや目的が不明瞭なままWebプロジェクトが始まってしまうことも多いと思います。
後になってから「ここのキャッチやロゴを修正してください」といったような依頼も結構あって、本来はクリエイティブな仕事をしてもらうべきクリエーターたちが全体像を知らされないまま目先の仕事ばかりに追われることが少なからずあります。クリエイティブであるべき人たちがクリエイティブな作業に注力できて、しかもクライアントもハッピーになるにはどうしたらいいかと考えていくと、私はプロジェクトマネジメントがポイントになるのではないかと考えています。プロジェクトに関わる多くの人が目的とゴールを共有するフレームワークとして、きちんとしたプロジェクトマネジメントを導入することで、IAの設計をきちんとできる機会をつくる事ができるのではないでしょうか。
さて、最近では企業でどのようにウェブガバナンスの概念に基づくサイト運営やデザイン設計が行われているのでしょうか?
長谷川氏: ウェブガバナンスは、たとえばグループ企業全体を含めた企業全体でサイトの統合、企業ブランドと製品ブランドとを最適に表現するためのサイトのあり方の検討、CMS化を行うためのサイトの標準化など、大規模なサイト統合や全体構造の再定義、といったものがあります。
これらは、ただ最適解を見つけるだけでなく、どういったプロセスで実現するかまで検討をする必要があります。いずれも移行プランまで含めたロードマップを作成します。こういった流れは、日本でもウェブサイトが一般化してきて、企業にとってもサイトが欠かせないものになったことが背景としてあると思います。
林: なるほど。最近では、CMS導入においても情報設計は必須ですし、大規模になればなるほどその重要性を感じます。プロセスの設計や、スケジュール設計が、企業のウェブサイトの土台を作るポイントですね。
「エンタープライズ情報アーキテクチャ(EIA)」と呼ばれるフレームワークや、企業のウェブガバナンスについて掘り下げ、マーケティング戦略や、運用効率に合わせたサイト構成などについて触れています。
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