トップ > 特集 > 新生オートノミー熊代氏とCMSのトレンドを徹底討論! Web業界のこれからと課題(2)

諏訪 : オートノミーは、「TeamSite」だけでなくさまざまなツールを持っていますよね。それらを組み合わせた事例をいくつか教えてください。
熊代 : 動画や画像などのリッチコンテンツを管理する「Virage MediaBin」というツールと、「TeamSite」を組み合わせ、構造化、非構造化データを問わず商品情報を一元管理し、世界各国の拠点に各言語で配信して大規模なWebサイトを立ち上げたケースは多いです。オートノミーもグローバルでビジネス展開していますので、自社ノウハウを生かし他社と差異化できる好例だと思います。
また、「Optimost」という製品では、WebサイトのPVやコンバージョン率を上げるために何が必要かをテスト・分析するツールで、SaaS形式のマネージドサービスとして提供しています。例えば全日本空輸(ANA)さんがユーザーで、会員獲得のための施策や航空券と宿泊予約の組み合わせを販売するためにどのようなWebサイトが最適かを検証するためにご利用頂いています。
加えて、最近では国内・海外共通して話題になっている「Twitter」などのソーシャルメディア系では、動的サイトを迅速に立ちあげられる「Live Site」があります。ソーシャルメディアを立ち上げたくても、各企業の制約でコーポレートサイトではなかなかそれが難しい場合がありますよね。そういった場合に、ソーシャルメディアやキャンペーンなどのWebサイトを容易に構築できます。
多様な種類のWebサイトをカバーし、Webサイトの構築から運用、テストまでのサイクルを網羅できる製品群を持っていることが当社の強みです。また、いずれのツールも「TeamSite」としっかり連動していますので、一括管理が可能な点も武器ですね。
画像や映像、クリエイティブ等のマーケティングコンテンツを集中管理するデジタルアセット管理製品
諏訪 : なるほど。ソーシャル系メディアについてお聞きしたいのですが、確かに注目点なのですが、ユーザーにCMSを用いた基幹サイトとソーシャルメディア系サイトの組み合わせを提案していますが、なかなか受け入れられない部分があります。
熊代 : それは私も感じています。Webサイトは多様化してきましたよね。コーポーレートサイトを運営しながら、EC(電子商取引)サイトや商品・サービス個別のサイトを持つ企業も増えてきました。そして、ソーシャルメディア系サイトが加わってきた。Webサイトは、企業にとって重要な情報発信、ユーザーとの情報共有基盤の地位を確立しました。
そうなった今、大切なのは各サイトに向けたポイントソリューションではなく、全Web資産を有機的に組み合わせ、企業が運用するバックエンドの基幹系情報システムとも連動した長期戦略だと思います。企業が持つWebサイトを総合的にみて、「企画→構築→運用→チェック→企画」といったPDCAを回すこと、それらに関連する承認プロセスを含めた基盤として捉えることも重要です。
ただ、まだその土壌が日本には根付いていなく、その都度ポイントでWebに投資する傾向があると思います。なので、なかなか組み合わせ提案、セット提案が受け入れられにくい。それは、ユーザーのせいでもなく、我々のようなベンダー側がしっかりとメッセージを発信していないからかもしれません。Webサイトを構築・運営するうえで、効果的な提案をもっとしていかなければならないと思っています。
諏訪 : そうですね。ただ、以前よりはユーザーにもベンダーのなかにも長期的なWeb戦略を考えなければならないという機運が高まってきましたよね。
熊代 : 以前に比べればかなり高まってきたと思います。
諏訪 : ベンダーの動きとしては、ユーザーの広範な要望を1社で網羅するのは不可能で、「餅は餅屋」というか、ベンダーが持つ強みを組み合わせた協業による提案が必要になってきたと思います。
諏訪 : ロフトワークでは某クライアント企業に向けてソーシャルメディア、ECサイト、コーポレートサイトの構築・運用作業を手がけているのですが、それは得意分野が違う5社で協業しており、互いの強みを組み合わせてプロジェクトが進んでいます。
熊代 : オートノミーも、過去システムインテグレータやWeb制作会社などと組んだ形でプロジェクトを動かしたことが複数あります。ロフトワークはプロジェクトマネジメント、デザインで高いスキルをお持ちですから、こうした分野でぜひアライアンスをさらに強化できればよいと思っています。
諏訪 : こちらこそ、よろしくお願いします。熊代さんとはぜひ他分野でも連携したいと思っています。最近、改めて思うのが、我々の役割ってWebサイトの重要性を啓蒙し、Web担当者の業務をサポートすることですよね。そのために、企業のWeb担当者がどうやったら、Webサイトへの投資を容易に予算化でき、費用対効果を説明できるようにできるかを考えているんです。
経営にはITが必須という認識が企業の経営者には着実に浸透し、情報システム部門は予算を取りやすくなりました。ERPの開発などに年間で数億円を投じていますよね。ただ、それはあくまで基幹系システムの話であって、Webサイトのシステムでは数千万円の予算を取るのも至難の業……。企業にとってWeb関連のシステム投資は、マーケティング費用の15ー20%はなければならないと私は思っているんです。
熊代 : Web担当者が予算を取るために必要な説明材料を用意し、投資対効果をはっきりと説明する材料を用意することもWeb業界として重要だと私も思っています。テレビや新聞のように、Webサイトにも投資対効果を計れる標準指標のようなものがあれば、もっとWeb担当者は楽になると思っています。そう簡単ではないのですがね……。
1社単独ではなく、業界が力を合わせて普及・啓蒙活動を展開する必要があると思います。その点で、ロフトワークが展開するCMS学会などはまさにその答えを追求していると思いますので、こうした活動でもロフトワークとは連携したいと思っております。また企業のWeb担当者の皆様と以前より所属しているWeb広告研究会のワーキンググループでも研究しているところです。
諏訪 : こちらこそ、ぜひよろしくお願いします。今後もさまざまな面で連携し、また定期的に情報交換できればと思います。本日はありがとうございました。
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