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トップ > 特集 > 矢野りんインタビュー いつまでも幸せにモノづくりを続けるために 後編(全2回)

取材・構成

株式会社ロフトワーク
ウェブエキスパート編集部
  • 矢野りんさんは、Webデザイナーであり、デザイン関連書籍のライター、そしてAndroidアプリ開発会社のデザイナーまでも務めるメディアクリエイターだ。インターネットの黎明期から実践者として、そして発信者として活躍し続けている。

    彼女のキャリアは、素晴らしいデザインやWeb、さらにはテクノロジーとしてのインターネットは本当に人を幸せにすることができるかへの絶え間ない挑戦だった。受け取る側にとって心地良く、そして便利である。その答えを自ら求めて発信してきたのだ。
    それと同時に、作る側にとって、いつまでも幸せにモノづくりを続けるための生き方とはどういうものかに、今、彼女がつくり、発信してゆく全ては集中している。実践者であり、発信者として、今彼女が体現するクリエイターとしての生き方とはどんなものなのだろうか?

職人として、一生幸せにモノづくりをしてゆきたい

矢野さんは、職人としてずっと幸せなモノづくりしてゆきたい、と言う。人は人との関わりの中で生きるため、仕事は自分の外の世界の人と関わる行為となる。ここが充実すると人生全体がとても豊かになるわけだが、関わり方の“うまいバランス”に着目している。

「仕事をするに当たって、他人・会社の都合に合わせてばかりいると当然しんどくなってきますよね。デザイナーで言えば、ずっと他人が決めた締切りだけで仕事してゆくのが辛いという感じで。セルフマネジメントという概念が無いため、会社・他人のペースで走っていないと人生が成り立たなくなってくることもある。結局、体がついてこなくなる時はいずれやってきますし、最悪、病気したりします。だから、そのような事態が置きないよう、自分のペースで歩いていける何を持っていることが重要で、そうなることが幸せなんじゃないかなって思うんです」

矢野さんは一児の母でもある。大半の人々は、いつかは家庭を持つもの。自分の人生が自分だけでのものでなくなるとき、他の誰かに振り回される仕事の仕方に誰しも疑問を抱くのだ。

「例えば、流行に左右されがちな服飾デザイナーでも、上位の工程を手掛けるフェーズがあって、そこではちゃんと歳をとったベテランが活躍できています。一方、IT業界の職能は、なんだか高度な知的産業で、常に新しくなければならないイメージがあって若い人たちのものに思われます。まだ歴史は浅いことは事実なんでしょうが、服飾業界と同じくWebデザインでもベテランが活躍できると思うんです。だから、そこを目指したいって考えているわけです。Webデザイナー・70歳・現役なんてカッコいいじゃないですか(笑)」
 
ここ2年で、個人商店としてクラウドをベースに仕事をするための環境はずいぶん整った。自分のペースで生きてゆく敷居は、以前に比べて格段に低くなっている。

「例えば開発者の場合、日本の商習慣的に歳をとってからも開発をしていると、どちらかといえば負け組になる、という風潮があります。つまりコンサルティングなどで人を動かしていくのが幸せだと思われているんですね。でも、開発だけで生きていきたい人もいるんですよ。例えば、アメリカだと生涯現役のプログラマーで普通に生きている人がいたりします。デザイナーも同じくです。私もときどき“まだ自分でやってんの?”と聞かれることもありますが、私は好きなのでずっとやりたいです。そんな職人としての幸せな生き方に今は憧れています
 
職人というのは長い歴史の中でモノづくりに携わる人々が描いてきたライフスタイル。今まさにWebデザインも少しずつその流れの中に乗ろうとしているのかもしれない。Webデザイナーとして、幸せで、豊かな人生を、これからも矢野さんは実践し、発信し続けてゆくことだろう。


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